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スコットランド ステージイベント「hanabi」参加ご報告(2025年6月)

細見 佳代(演劇講師/(一社)ART & HEALTHきょうと 代表理事)


50歳からのハローシアター 星組のメンバーは、2025年6月、スコットランドのシニア劇団「TrickyHat」がグラスゴーで行うイベント「hanabi」に参加しました。
「TrickyHat」と「50歳からのハローシアター」は、どちらも参加者のライフストーリーをベースに作品創作をしており、2021年から交流を深めています。「hanabi」では「高齢者の表現活動や社会参加」をテーマに、ワークショップと上演が行われました。

1. トリッキーハット主催「hanabi」前日ワークショップ(2025年6月13日)

会場:グラスゴー・レンフィールドセンター
参加者:約50名(仙台から5名、京都から4名、スコットランド約40名)

【前半:国際交流ワークショップ】

筆者(細見)が進行を担当。主催のトリッキーハットから「文化交流を促してほしい」と依頼され、以下3つの目的で実施しました。

● 息を合わせること
● 親しくなること
● 創造的な気持ちを高めること

主なアクティビティ例:

● 5秒間でできるだけ多くの人と握手
● ハイタッチで名前を呼び合う
● 今日の気分を体で表現し、真似する
● 「山」「雨」「虹」など自然をテーマにグループ創作

グループで「雨」を表現する

グループ創作では言葉を超えてすぐにイメージが共有され、参加者同士のつながりが深まりました。
「今日、娘に“私は虹になったのよ”って話すわ」と語るスコットランドの参加者の言葉が印象的でした。

参加者の声より:

●「私たちのグループは「雨」を表現しました。自然と打ち解けて、休憩中にはみんなで一緒にランチも楽しみました。(仙台)
●「年を重ねているせいか、皆さんに包容力があり、お互いのアイデアをすぐに受け入れることができました。文化は国境を越えるものだと実感しました。」(京都)

【後半:フラッシュモブの振付づくり】

後半は、トリッキーハットの演出家イアンさんと振付家ローラさんがリードし、翌日に上演するフラッシュモブを振り付けました。前半にグループで作った「自然」の動きが活かされ、少人数で表現した「虹」や「山」が、50人の大きな動きへと発展していきました。

4人の虹が50人の虹へ

また「手」をテーマにした即興セリフが加えられ、作品に深みが加わりました。私たちの劇団「50歳からのハローシアター」でもこの数年「手」をテーマに創作していたので、国を越えて同じテーマが追求されていることに親近感を抱きました。

イアンさんの言葉:「みんなの意見を一致させることより、異なる意見を尊重することが大切」

短時間ではありましたが、このワークショップは、参加者一人ひとりが自身の個性や物語を主体的に表現する場となり、日本とスコットランドの高齢者同士が、心の奥深くで気持ちを通わせる貴重な機会となりました。


2. セリフリハーサル:「年を重ねること」を語る

イベントでは、「年を重ねること」をテーマに、仙台・京都から1名ずつが語りを担当しました。
京都からは、33歳の厄年に母から贈られた「赤い帯」にまつわるエピソードが語られました。
当初は迷信のように感じていたその帯も、さまざまな苦労を経て還暦を迎え、さらに卒寿となった今、母が帯に込めた長寿への願いが次第に理解できるようになったという内容です。
体調不良のため語り手本人は渡航できませんでしたが、別の参加者が赤い帯をつけて登場し、着物姿でそのお話を披露しました。

京都の語り手とスコットランドの語り手

感想:「とても美しい話だった」「心に響いた」

日本の伝統的な慣習や家族の想いが、スコットランドの観客の心に届いた瞬間でした。


3. 本番:歳をとることを祝うイベント「hanabi」(2025年6月14日)

会場:CCA(グラスゴーの現代アートセンター)

日本からの参加団体:

● 50歳からのハローシアター (京都)
● NPO法人アートワークショップすんぷちょ(仙台)
● 一般社団法人 ロスホコス(京都)

映像・語り・ダンス・演劇など、多様な表現が交差し、観客と出演者が一体となるイベントとなりました。国際的な高齢者の舞台表現の可能性を感じる濃密な時間でした。

フラッシュモブ

4. スコットランド アート×福祉団体リサーチ(6月11日〜12日)

6月11日から12日にかけて、アートと福祉をつなぐスコットランドの5つの団体を訪問し、リサーチを行いました。特に高齢者の創造活動を支援する「Luminate(ルミネート)」と「Dance Base(ダンスベース)」の取り組みが印象に残りました。

訪問団体(一部):

● Luminate(ルミネート):高齢者の創造的表現を年間通じて支援する非営利団体。
●Dance Base(ダンスベース):スコットランド国立ダンスセンター。高齢者・パーキンソン病の方を対象としたプログラムあり。

得られた視点(キーワード):

◎ 当事者性:創造の主体として高齢者自身の声と意志を尊重する姿勢。
◎ パートナーシップ:人材や資金面の課題に、ネットワークを活かして取り組む姿勢。

今回のリサーチで得た視点を、日本での活動にも反映し、アートと福祉の繋がりをさらに広げていきたいと感じました。


(レポート:細見 佳代 /写真:Brian Hartley)

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<対象> 50歳以上の、演劇初心者の方

<日時> 隔週月曜 午後2:20〜3:50(90分)

<会場> 京都市左京西部いきいき市民活動センター会議室 (京阪「出町柳駅」から徒歩約7分/京都市左京区田中玄京町149/養正保育所2階)https://www.gekken.net/SW_IKIIKI/access.html

<参加費> 体験レッスン 1,500円(1回のみ)

<持ち物> 筆記用具/動きやすい服装でご参加ください。

<講師> 細見佳代 一般社団法人ART & HEALTH代表理事/「50歳からのハローシアター」ディレクター/社会福祉士
(財)静岡県舞台芸術センター専属俳優を経て、2007年よりシニア世代の演劇活動を開始。全国シニア演劇大会や京都シニア演劇フェスティバルへの参加、海外シニア劇団との共同制作など、国内外で活動。高齢者の記憶や人生を作品化する「回想法事業」や多世代交流プログラムを企画し、アートとケアの融合に取り組んでいる。
執筆:「『私』を求めて―シニア劇団星組の稽古場から―」 (『アートの体験を生きる 表現/実践/研究のあいだにひらかれるもの』収録)

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